少し変わった血漿交換療法PDF(Plasma Filtration with Dialysis)の紹介
今回は集中治療領域での血液浄化療法、その中でも「血漿交換」に関する基本と新しい治療法をご紹介します。まず私達臨床工学技士が普段関わる急性血液浄化は下のようなものです。
敗血症⇒CHDF(持続緩徐式血液濾過透析)、PMX(エンドトキシン吸着)
腎不全・呼吸不全・心不全⇒CHDF(持続緩徐式血液濾過透析)
自己免疫疾患・肝不全⇒PE(血漿交換)
といったところです。これらの血液浄化療法は基本的に1回1治療しかできません。
(写真がヘモフィルター.エバキュアー)
どうゆうことかというと、使用するヘモフィルター(血液透析器であったり血漿分離器であったりするもの)は1つの役割しかできず複数の治療を同時に行う場合は補助回路や機器を2台使用したり(もちろんブラッドアクセスも)など、とても現実的ではありませんでした。このため肝不全患者で腎不全も併発しているような患者であれば血液浄化を行うための血液回路を接続するブラッドアクセスは1つしかないためその1つのブラッドアクセスから血漿交換をはじめに行い目標血漿処理量が終了したら回収し・・・血漿交換療法は終了。その後CHDFの回路を組み再開といった手間が必要でした。しかし、今回ご紹介するPDF(Plasma Filtration with Dialysis)は血漿交換を行いながらCHDFを1本のヘモフィルターで行う事が出来る優れものです!PDFの話をする前に血漿交換療法とCHDFの基本をおさらいしたいと思います。
単純血漿交換(Plasma Exchange,PE)
単純血漿交換はただただ単純に患者から血液中の「血漿成分」を抜き取り抜き取った分と同量の血漿成分輸血(FFP,新鮮凍結血漿)を患者に補液するものです。このため機械や仕組みも図のように簡単なものになります。
ブラッドアクセスを介して患者血液を血液ポンプで脱血しその血液が血漿分離器を通ることで血球成分と血漿成分に分けられる。血漿成分は血漿分離器内の膜外に出るのでそれを廃液し廃液した分FFPを補液する。
持続緩徐式血液濾過透析(Continuous Hemo Dia Filtration,CHDF)
持続緩徐式血液濾過透析は、カリウムや尿素窒素・クレアチニンなどの小分子領域物質を透析液を流すことによる「拡散」で除去し、中分子領域物質除去は濾過による方法で除去しています。
図のようにCHDFでは透析液を流したり補液を入れたりと血液ポンプも合わせて計4つのポンプを使用しなければいけません。
PDFはどのようなフロー図か?
今回紹介するPDFは血漿交換とCHDFが合体したものですがフロー図を先に示すとこのような図になります。
感覚としてはCHDFに準ずるのですが、ろ過をかけると血漿分離器なので血漿成分が濾液として出てきます。このため補液(透析液)とFFPやアルブミンをいれてあげます。言うてしまえば血漿分離器の外側に透析液を流して血漿交換をしながら小分子物質を除去できるので先に挙げたような肝不全で血漿交換をしたいし腎不全も併発しておりCHDFもしたいといった方にはいい適応だとおもいます。
また、このPDFという治療ができるのは私が知る限り川澄化学工業が出しているエバキュアーという血漿分離器のEC2Aという商品のみです。
まとめとなりますが、PDFは画期的なイメージですが、実際個人的には血漿交換をゆっくりしたSlowPEって思っています。
…臨床的にどっちがいいんかは分かりませんが、国の医療費としては外側に透析液を流したPDFじたい「血漿分離器」としてしか保険請求はできないためPEとCHDFを別々で行った場合と比べたら安くなるのでそれはいいことなのかもしれません。
ん~。難しい!
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿