院内でNPPV専用機として広く使用されているPHILIPSのV60。前機種であるBiPAP VISIONのメーカー点検が終了になったことから当院でも更新を行っているわけですが、先日改めて取り扱い説明書を見ていると見慣れないPPVなるモードが…

なんで今回納品されたものにこのモードがないのかディーラーへ問い合わせたところオプションだと。。。

そしてそんなオプションモードがあることすら知らなかったというディーラーさん。

そんなこんなで私のわがままでPPV入りのV60をデモ見せしてくれました。



PPV(Proportional Pressure Ventilation.比例圧換気)

このPPVは、前機種のBiPAP VisionにあったPAV Tに対応するモードのようです。




以前、このブログでもBiPAPの説明は行っていますがそのときは「あえて」PAVの説明はしませんでした。

何故ならば…難しいから!

というか私も使いこなせないので質問されたら困るから…です(笑)と、いうことでザックリですが、基本概念は侵襲的陽圧換気でのベネット840におけるPAVの概念と同じです。

大きく違うことは、コンプライアンス成分とレジスタンス成分を独立して考えることができること。言わば「マニュアルPAV」とでも名づけましょう!てなわけで私が実際にマスクを装着した上での感想を交え中身を見ていきます!


PPVを選択すると下のような画面が・・・


とりあえずは下の圧であるEPAPを決めて問題となる換気のパラメーターにおける限界値をきめます。ようするにアラーム設定ですね。このアラームを決めておくことで過度サポートによるOver VolumeとOver Flow(Pressure)を予防するわけですが、この項目だけではなんの換気もできませんので左側の大きな枠を押してみると・・・出てきました!


Max Eにあたる部分がコンプライアンスの逆数であるエラスタンスなのでVolume成分。Max Rにあたる部分がレジスタンスなのでFlow成分となります。そして右側のPPV %により補助率を規定するというわけですね。

尚、侵襲的陽圧換気で使用するBenett840のPAVは勝手に機械がEとRを計算してその2つを相対的に規定した補助率で換気補助するというものでしたが、このPPVは独立してEやRの値を入れ込めるためオペレーターの「腕次第」でvolumeとflowを自在に操れる可能性があります。

試しにEとRを0にしてみると右上の実測値であるPIP(最高気道内圧)が4cmH2Oと表示されているのが分かります。これは、モード選択後に規定したEPAP・・・強いては4cmH2OのCPAP状態になったということです。そりゃ、volumeもflowも補助のしようがないからそうですよね。。。



お次は補助率を100%にしてEやRを入れてみます。まずはEに3を入れてみると若干ですがvolumeが増加しPIPも6cmH2Oに変化しました。この時そんなに不快感は感じません。


お次はこの状態からRに数値をいれると・・・なんとまあ、波形のまんなかを注目してもらえると分かるのですが、Flowの傾きが急になっています。加えてPIPも上昇。


さらにRの値を増加させます。


上の画像と比べるとさらにFlowの立ち上がりは早くなりPIPも上昇していることが分かります。このように「換気欲」にはVolumeを、「吸いたい欲」にはFlowを提供すれば患者快適性が増すかもしません。

ただ、どのモードにも言えることですがPPVのように吸気性に特化した補助ができても呼気的要素がないので必要に応じメニュー画面からEサイクルなどを操作し呼吸パターンそのものをいつも以上に評価すべきなのかなと感じました。


今回は超マイナー路線に走りました。使いこなせたら、急性期NPPVが変わるんだと思います。しかし、リークありきのNPPV、しっかりとした管理がベースで出来ているところからの発展的呼吸管理になるのでもし使用したことがある方がいれば情報求みます!

そもそも日本で使用している施設はないだろうとの事ですが・・・海外文献でも見てみようかな。。。

これにて終了!