ブログ設定もなんとか終わり先ほどの投稿は削除いたしました。皆様ご迷惑かけすみませんでした。

さて、今回は急性期病院とは縁のない慢性期呼吸管理のおはなしに触れてみたいと思います。

そして慢性期は慢性期でも重症心身障害児(者)の呼吸管理に限定したお話なので経験者は極々僅かかもしれません。しかし、そのような患者が急性期病院へ搬送される事もあるわけなので慢性呼吸管理に6年携わった経験を多くの方に知っておいてもらえたらなとの思いで紹介していきたいと思います。

さて、重症心身障害児(者)における呼吸管理は一般的呼吸管理と全く別物です。

最初に、重症心身障害児(者)とはどのような患者なのかを知らなければいけませんが、患者の多くは、知的能力と運動能力に障害がありそのバックグランドとして出生前の段階における胎児感染や染色体異常などと出生後の新生児仮死や低酸素脳症、神経筋疾患などがあります。また、呼吸管理などの医療的介入が必要な患者のことを「超重症心身障害児(者)」といいいます。

私が診てきた患者においては脳性麻痺や水頭症、染色体異常の方が多く、四肢変形や側湾を伴う方も多かったです。よって呼吸管理で最も特徴となるのは変形による胸郭コンプライアンスの低下と気管の蛇行です。

下にレントゲン写真を示します。


見ると分かるように大きく曲がっているのが分かります。そして、このような患者さんには挿管時、通常の挿管チューブでは挿管困難となることもありそのような場合は「スパイラルチューブ」というフレキシブルに曲げることができるチューブなどを使用します。


左が通常の挿管チューブで右がスパイラルチューブです。このスパイラルチューブは下のようにフレキシブルに形状を変えることができるので挿管手技の手助けとなります。


また、気管切開チューブに関しても下の「アジャストフィットと呼ばれる挿入部分の長さを可変できるようなチューブを用いるなどの工夫を行います。


そんなこんなでデバイスの準備や特徴を紹介しましたが、バードとなる人工呼吸器は下のような呼吸器が多く使われているのではないかなと思います。
左から…

パシフィックメディコのLTV1000
東機貿のニューポートE100M
フィリップスのTrilogy100

これらは比較的安定した患者に使用する呼吸器であり、クリティカル領域で使用するような難しい機能は無く最低限の「生命維持」を目的とするものです。このため操作も容易でお値段的にもリーズナブルです。


このような呼吸器が使用されるわけですが、前述したように基本的な目的は「換気の維持」です。

自発呼吸が無かったり弱い患者が多いため人工呼吸器での管理を必要とするわけですから、基本的に肺そのものの疾患は持たない場合が多いです。

しかし、胸郭変形による胸郭コンプライアンス低下と長期臥床による拘縮のため拘束性的特長を有します。

このためある程度のPEEPは必要ですし駆動圧も高めになる可能性があり吸気時間の延長やライズタイムの延長などの工夫を要することがあります。

そして、肺疾患は基本的に無いとは言ったものの重症心身障害児(者)に多いのが気道過敏性が高い。

経験上ですが、染色体異常のお子さんなども結構気道過敏性が強く喘息様の症状に陥るのを何度もみてきました。このようなイベントの可能性もあるため気管支拡張剤なども使用するかもしれません。

尚、このような患者が急性期病院で管理を行う場合は既往疾患治療か長期臥床による誤嚥性肺炎などによる呼吸状態悪化だと思います。このためイベント発生前のそもそもの呼吸管理やこのような患者における特徴を理解しデバイス準備等にも気をつけて頂けたらなと思います。

キーは長期臥床に尽きると思いますが・・・


栄養や水分管理なども含めてみていけばよりよい治療・ケアができるような気がします。なんかもっと伝えたいのですが・・・ソースがないためこれにて終了!