今回は、人工呼吸器管理において患者の自発呼吸を感知する仕組のトリガーについてご紹介します。人工呼吸器のトリガー設定は患者サポートを行うために必須の設定項目。今一度、考えて頂ければと思います。

人工呼吸器におけるトリガーとは、患者吸気努力を検知するしくみをいいます。「引き金」や「感度」なんかともいったりしますね。このトリガーは、患者吸気努力を検知したら人工呼吸器により換気補助を患者の呼吸に合わせて行えるのでバッキングやファイティング防止にもなりますし患者呼吸仕事量の軽減にもつながります。このことからトリガー設定を行う事は患者に優しい呼吸管理を行う事につながるのです。さてせて、トリガーの話をつめましょう!


トリガーの種類は2種類

人工呼吸器のトリガーは圧トリガーとフロー(流量)トリガーの2つがあります。一般的に圧トリガーよりもフロートリガーの方が患者の自発呼吸を低い閾値で検知する事ができ患者に優しいと言われている事から専らフロートリガーの方が臨床的に使用される頻度が高いです。

・フロートリガー

フロー(流量)トリガーは、どれくらいの勢いで吸気を行ったかを見るもので人工呼吸器の機種にもよりますが、設定表記として「フロートリガー5」や「フロートリガー1」などの表記方法がとられます。基本的には「1」や「2」など数字が小さい方が鋭敏(検知しやすい)で数字が「8」や「9」などの数字が大きい方が鈍くなります。また、原理として図のように人工呼吸器側から換気とは別の定常流(ベースフローやコンスタントフローなんていいます)という決められた流量を流してその定常流が呼気側でどのくらい戻ってきたかを見てトリガーとしています。

人工呼吸器フロートリガーの仕組み

圧トリガー

圧トリガーは、PEEPから患者吸気努力により何cmH2Oの陰圧が生じたかを検知するもので数字大きければ大きい程、患者が作り出さなければならない陰圧は大きくなるので鋭敏なのが「圧トリガー-1」や「圧トリガー-2」で鈍いのが「圧トリガー-10」などの設定になります

フロートリガーと圧トリガーの違い



フロートリガーから圧トリガーに変更する症例は?

一般的に使うフロートリガーから圧トリガーに変更することがたまにあるのですが、それはフロートリガーを使ってオートトリガー(患者の自発呼吸でないのに勝手に自発呼吸と認識すること)が発生したときです。小児でカフなしチューブを使い自発呼吸がないのにトリガーがかかってたりしても苦肉の策として使います。


他には低コンプライアンス症例でも呼気フローが勢いよく出すぎて一度0になったあとでもフロー変化がおきてオートトリガー→二段呼吸となることもあります。


これらの時は圧トリガーに変更してもいいですが、必ず本当に自発呼吸がトリガーされていて自発呼吸以外で呼吸器かオートトリガーになってないかや自発呼吸がない状態でトリガーがかかっているなどの確認をしてください!


今回はトリガーについての記事でした。基本はデフォルト設定でいいてすが、症例によっては調節を行い患者に優しい呼吸管理を行って頂きたいと思います。