人工呼吸器に搭載されているフローセンサーについて…色々な種類のセンサーにおける利点・欠点を紹介します。


人工呼吸器においてフローセンサーは非常に重要な構成要素です。フロー(すなわち流量)を計測することは換気動作における制御機構として重要な役割をもちますし一回換気量や分時換気量の実測値を求めるためにも必須です。


このように重要な役割を持つフローセンサーですが、数種類ありそれぞれ特徴があるため紹介したいと思います。



熱線式フローセンサー

ハイエンドの人工呼吸器に搭載されているのがこのタイプ。白金(いわゆるプラチナ)を400度あたりまで温めておきガスが通ると高温に熱せられた部分が冷やされます。この温度変化によってフローを測定しているのが熱線式です。精度が高く信頼性が強いですが、白金が切れたりするとフローが測定不能となる欠点があります。フロー測定がうまくできない場合はフローセンサーの白金部分を疑ってみてください。

人工呼吸器用熱線式フローセンサー


(写真は熱線式フローセンサー)→金属の2つの棒の間に細い線が繋がっています。


差圧式フローセンサー

病棟用や在宅用、移動用人工呼吸器にみられるのがこのタイプ。口元部分にセンサーを取り付けそのセンサーにより圧力測定を2点間で行い、その2点間の圧力差によりフローを測定します。利点としてはセンサーがディスポの商品がほとんどなので患者ごとに交換できること。欠点としては圧力測定用のラインに水が入ったりキンク(閉塞)したりするとフローが測定できなくなることや圧力測定ラインが回路とは別に2本追加になるので煩わしさがあります。個人的に差圧式フローセンサーは好きではありません。。。


差圧式人工呼吸器用センサー


(赤丸部分が差圧式フローセンサー)→センサーから本体側に圧力測定用ラインを接続しなければならない。



超音波フローセンサー

流れてくる呼気ガスに超音波を当ててフローを計測するもの。利点としては正確さやメンテナンスフリーなところで欠点は特に思い浮かびません。この超音波フローセンサーはServoシリーズに装着する呼気カセットと一体になっているので呼気カセットに不具合があったりフローセンサーに不具合があれば呼気カセットごと交換する必要があります。


超音波式人工呼吸器用センサー



今回は人工呼吸器の色々なフローセンサーを紹介しました。それぞれ利点や欠点がありますが、ご施設の人工呼吸器への理解が深まれば幸いに思います。