今回は人工呼吸患者の鎮静と鎮痛についてです!以前、県内の他施設で働くナースに講義をしたときに多くの施設があまり鎮静と鎮痛に関して真剣に考えていない現状があったのでこのトピックにしてみました!

そもそも、何故人工呼吸患者に鎮静と鎮痛が必要なのか!?麻酔の3原則を紹介しながら進めていきたいと思います!

麻酔の3原則とは?

麻酔の3原則とは「鎮静」「鎮痛」「無動」の3つになります!よく麻酔の3Aなんかって言われてます。この3Aは先に出した「鎮静(Amnesia)」「鎮痛(Analgesia)」「無動(Akinesia)」の頭文字「A」からくるものです。これらを麻酔科医は薬剤を用いて勝ち取るわけですが…それぞれ…

鎮静=鎮静剤(プロポフォール)
鎮痛=鎮痛剤(フェンタニル)
無動=筋弛緩剤(エスラックス)





この中の一つでも欠けたらどうでしょう?

オペなんてできません!

恐怖ですよね!

この麻酔の3Aは欠くことのできないものなのです。

集中治療の3原則

何故、この麻酔の3Aの話をしたかといいますと…集中治療にも麻酔の3Aと同じような3つの約束事があります。

それは…



鎮静
鎮痛
せん妄対策


そして麻酔の3Aで出てきた無動化に変わる「せん妄対策」を行うためには適切な鎮静と鎮痛が必要になってきます。まさに集中治療の3原則。


集中治療領域では人工呼吸管理を行っている患者さんも多いです。しかし、その患者さんは気管チューブや吸引カテの刺激が苦痛に違いありません。


そのような痛みを持っていたら激しく暴れてしまうのは目に見えています。だったら鎮痛を行うべきです。


また、モニターなど多数の機器の中にいると落ち着きがなくなりこれもまた患者さんの興奮要素になってしまいます。そのような場合は浅い眠りの状態を作るよう鎮静を行うべきです。


この2つをやっていくとおのずとせん妄対策となります。


鎮痛をスケール化したPainスケールや鎮静をスケール化したRASS。これらのスケールをもとに適切な患者管理に努めなくてはいけません。


せん妄状態になってしまった患者さんはなかなかリハビリなどもできなく治療期間が長くなってしまいますからね…


みなさん、鎮静と鎮痛は非常に大事なものです!もし御施設でこのような事に取り組んでいなければ是非行ってください!