今回は人工呼吸器に装着するフィルターについてのお話です。

当院の人工呼吸器でいうと写真のようにフィルターは人工呼吸器の呼気側へ装着しています。そしてこのフィルターは毎日ナースが交換してくれています。




そもそも何故人工呼吸器にフィルターを装着するのか?といいますと・・・



当院のように呼気側での装着の場合は、患者呼気から出たウイルスやバクテリア、その他のものを呼吸器側へ送らないように装着しています。人工呼吸器は色々な患者さんに使用されるわけですから人工呼吸器そのものが感染状態にならないようにということで装着しています。


では、吸気側のフィルターはどのような意味で装着しているのかといいますと・・・「吸気ガスの汚れをとって綺麗なガスを患者に送るため」の一点!


酸素と空気両方を配管から引き込むタイプの人工呼吸器はわりかし汚れのないガスが配管を流れていますし、配管から人工呼吸器にガスを引き込む際、呼吸器の入口にフィルターをもともとつけているものが多いので基本的には必要がありません。しかし、タービン式(空気の配管を必要とせず室内の空気を圧縮して使用する仕組み)の人工呼吸器では空気の汚れをとるために吸気にフィルターを着ける事がほとんどです。1番よく分かるのがNPPV専用機のバイパップビジョンやV60などですね。



さらに今回はフィルターの仕組みについて図を用いた紹介を行います。



フィルターの性能はこれから紹介する3つの仕組みにより成り立っておりそれらを理解すれば何故1日交換をしているかという事が分かるので要チェック!



①ろ過による除去




1つ目はろ過による細菌除去です。これはフィルターの孔より大きいものをこしとりそれ以外のものを通すといういたってシンプルなもの。


②ブラウン運動



ブラウン運動とは、空気分子やその他の物質が衝突することにより不規則な動きをすることをさし物質が小さく速度の速いものが運動的にも大きいといわれています。この運動によりフィルターの繊維部分と物質が接触し補足される仕組みとなっています。



③静電吸着





図は分かりやすくフィルター側をマイナス側、バクテリアや細菌をプラス側の性質をもたせています。静電吸着方式ではこのように電気的にプラスとマイナスで吸着を行って物質を補足しています。



これらのように1つのフィルターといえど色々な仕組みを持っています。現在臨床で使用されているほとんどのフィルターがこの仕組みです。また、3つ目にあげた静電吸着がフィルター交換の期日に大きく関わっているので少しご紹介。



呼気側にフィルターを装着する場合、フィルターを通過するガスは患者からの吐出ガスなので温める必要がありません。このため人工呼吸器側に戻る患者呼気ガスは呼気回路を通過している間冷やされ結露が生じます。もし、呼気回路が結露を有さない特殊素材を使っていたとしても呼気回路と人工呼吸器の間にある呼気フィルターには「水分」が出来てしまいます。


3つ目の静電吸着方式は電気的なものでしたので「水」がフィルターについてしまうと電気的性質を持つことができず、静電吸着が出来なくなってしまいます。このため静電吸着方式をとるフィルターは水をはじく疎水性質をもっています。しかし、人工呼吸器で加温加湿器を装着している場合は「水」がどうしてもできてしまうので24時間で呼気フィルターを交換するようになっています。



吸気側でしたら乾燥したガスしか通らず静電吸着性能が維持できるため24時間以上の使用も臨床的に可能という事になりますね。



このようにフィルターには性質がありフィルター性能を維持するためには「乾燥状態」が必須でした。このことをしっておけば何故交換が必要なのかというのも分かると思いますので是非覚えて頂けたらと思います。


以前の加湿器と人工鼻のお話はこちらから
加温加湿器と人工鼻を併用したらどうなる