前回は敗血症の病状について触れましたが、今回は「治療」について書いていきます。


敗血症の治療は内科的治療(抗生剤や抗菌薬)と昇圧剤等による循環維持になるわけですが、私達臨床工学技士は血液浄化療法というものを行うことがあります。


集中治療における血液浄化療法の基礎知識

集中治療で血液浄化を行う際は中心静脈にブラッドアクセスと呼ばれる体外循環用のルートを使用します。このブラッドアクセスはCVのようなものですが、特徴として赤のラインから患者さんの血液を引っ張り出して青のラインから綺麗にした血液を患者さんの体内へ戻すラインとして使用します。


敗血症に体する血液浄化療法

敗血症に効果があるとされる血液浄化療法は大きく2つ。1つは直接血液還流と言われる方法、もう1つは持続緩徐的血液濾過透析です。それぞれ紹介していきます。


直接血液還流(使用カラム:トレミキシン)

これは前述したブラッドアクセスから血液を引っ張り出してトレミキシンと呼ばれるカラム(ポリミキシンBという抗生剤をつけたフィルターのようなもの)を通過させそこでエンドトキシンという有害物質を吸着して血圧上昇を図るものです。

トレミキシンの写真はこちら(㈱東レより引用)




このトレミキシンというカラムですが材料価格が30万以上と非常に高価なものになります。一か八かといったところもありますが…実際に使用してみた感想としては「効く人には効く」といったところです。


トレミキシンの治療時間は添付文書上2時間とされていますが、現在は長時間施行のほうがよいとも言われています。私の施設ではフィルターが詰まるまで使用することが多いです。もしくは治療効果が乏しい場合はCHDFへ変更といったところでしょうか。成人で使用する場合は血流量を80ml/min以上で施行しています。


持続緩徐的血液濾過透析(使用フィルター:ヘモヒィールorセプザイリス)

こちらは俗に言うCHDFです。ようするに24時間透析するというもの。敗血症の場合、循環障害のため急性的に腎不全になることもしばしば。


このためCHDFを行うこともあるわけです。敗血症の場合に使用するフィルター(持続緩徐的血液濾過透析器)は二種類。1つは何らかの炎症物質を吸着していると言われているヘモヒィール。もう1つはサイトカインを吸着すると言われているここ最近発売され始めたセプザイリスというものです。


セプザイリスの写真がありませんがヘモヒィールはこちら(㈱東レより引用)




ヘモヒィールとセプザイリスを比較したところ…私が関わった症例だけでいうとセプザイリスの方が効果はあるような気がします。このセプザイリスの効果についてはこれから論文や演題発表など集まってくるかと思いますので将来期待できるものだと思います。+ヘモヒィールに関しては日頃からなんとなく使いにくいイメージをもっています。


総評としてはトレミキシン単独よりもセプザイリスで腎臓の保護的要素もありつつサイトカイン除去を狙うほうが今後は使いやすいように思います。これまではトレミキシン後にCHDFや直列回路で同時進行していましたのでその手間を考えると私達も負担が減るのかなと期待です。


いつになるかは分かりませんが…CHDFについてはいつかまた書こうと思います。


※追記
これからセプザイリスを使用される御施設様へ
セプザイリスの透析液入口と出口の接続は従来のフィルターより回路との相性が悪いようで当院では接続部から若干の漏れがあったことがありましたのでご注意下さい。