酸素療法の1つであるネーザルハイフロー。果たして換気障害のあるⅡ型呼吸不全にも有効なのか!?


以前記事を書いた時にはⅠ型呼吸不全、つまり換気障害を伴わない酸素化不良の患者さんが適応だと書きました。


しかし最近になりドクターから「ネーザルハイフローってⅡ型呼吸不全にも効果あるの?」と聞かれたのです。恐らく、Ⅱ型呼吸不全に使用した症例報告が出たりメーカーやレンタル業者がアナウンスをしているのも影響していると思います。


さてさて…実際問題Ⅱ型呼吸不全に対して効果があるのかというと、個人的には「PCO2上昇が軽度ならば効果アリ。しかし推奨はしない」とでもいいますか。。。


実際効果がアルというのは語弊があるのですが…知っての通りネーザルハイフローはただの酸素療法なので換気補助を機械的に行うことなどできません。


そして「Ⅱ型呼吸不全において使える」とのワードは「二酸化炭素分圧を下げることができた」という意味になります。でも、先程書いたように機械的補助は出来ません。



それならば…二酸化炭素分圧が下がる要因となりえるものは…生体的に肺胞換気量が増加する状態になる必要があります。


軽度の二酸化炭素貯留患者に関して言えば、ネーザルハイフローにより肺胞換気量増加は…ありえます。


どのような機序かというと…


軽度二酸化炭素貯留と酸素化不良の状態がある患者がいたとすると、患者の呼吸はおそらく多呼吸です。


この原因が無気肺であったり肺炎であったりするわけですが、どちらでもいいとして…吸ってもうまく換気が出来ないときの呼吸は吸気流速が早く効率的に酸素吸入が出来ない&吸気時間も短いので一回換気量が小さくなる→低換気となります。


これがネーザルハイフローにより高濃度の酸素投与が可能になるといくぶんPO2は上昇するはずです。


するとそれほど沢山呼吸しなくなる(多呼吸が落ち着いてくる)ので吸気流速が遅くなり吸気時間が延長→一回換気量が増加→肺胞換気量増加→PCO2低下となるわけです。



この機序の通りですとネーザルハイフローが有効というか二次的に改善を認めたレベルになります。


他にも閉塞性疾患の患者であればてだ単にネーザルハイフローのCPAP様効果にあやかり呼気の吐出障害が改善したというのもあるかもしれません。



どちらにしてもあくまでも二次的なおまけなので軽度のⅡ型呼吸不全ではアリと思いますが、呼吸性アシドーシスも酷くなっているような患者にはNPPVや気管内挿管を考えるべきだと思います。



しつこいようですが、ネーザルハイフローは患者選択をしっかり行って使用してほしいと思います。