図解!経肺圧の測定と臨床応用使用
食道内圧測定による経肺圧の算出方法・臨床応用ついて紹介します。
そもそも食道内圧と経肺圧って何?
人工呼吸器管理は肺胞虚脱防止を行いながら過度な圧力をかけないようにする「肺保護」換気が重要だと言われています。呼吸管理を行う上で私達が観察する人工呼吸器側の圧力モニタリングは「最高気道内圧」や「プラトー圧」」「PEEP」などです。しかし、これはあくまで人工呼吸器が「換気を行った上でモリタリングしている圧力」であって表示されている圧力が肺胞にかかっている圧力かというとそうではありません。下の図を見てもらえると分かる通り、肺胞にいきつくまでは人工気道である挿管チューブや気管支系もありますし肺胞は胸郭の中に収納されているわけです。ようするに肺にかかっている圧力を求めるにはこれらが生じる外圧を差し引いてあげなければいけないのです。
さらに外圧を測定する方法としては下のように食道内圧測定を行うことにより近似値を得られるといわれています。
さてさて、食道内圧を測定することにより肺胞にかかっている圧力、いわゆる経肺圧を求めることができると分かりました。では、どのように食道内圧を測定するかといいますと…マーゲンチューブに圧力センサーをつけたものを留置し人工呼吸器側で圧モニタリングを行い測定します。
経肺圧の臨床的応用
(IMI社 AVEAを使用)
やっとこそ実際の食道内圧測定画面にたどりつきました。今回はIMI社のAVEAという人工呼吸器を使い食道内圧測定を行いました。人工呼吸器のグラフィック画面に3つの圧力が表示されていますが、上からそれぞれ
換気圧
食道内圧
経肺圧
になっています。
それでは、経肺圧を臨床的にどう活用するかというと一番期待できるものがPEEPの設定です。PEEPは肺胞虚脱防止を目的とするパラメーターですが下のような状況であればどうでしょう?
胸郭コンプライアンスが悪かったり肥満のためぜい肉が荷重となり肺の膨らみを阻害する因子があったとします。そのような場合、PEEPをかけていたとしても外圧に負けてしまっていたら肺胞を持続的に膨らませることは不可能です。具体的数字をだすとコチラのようになります。
このようにPEEPを本当の意味で設定し「bestPEEP」に近づけることができるわけです。実際の経肺圧モニタリング画面を見てみると、一番下に表示される経肺圧のベースラインが-になっていることがわかります。
このような場合は-に傾いている分のPEEPを追加設定してあげると最低ラインのPEEP設定ができるということになります。
このように食道内圧測定は今まで見えなかったものを「見える化」してくれる臨床ツールになります。
しかし、食道内圧はマーゲンチューブの位置調整や体位、腹圧にも影響されるので私も含め症例を重ねて総合的な視点を持ちさらなる臨床発展ツールになるよう努めなければいけないと思います。
食道内圧測定に関してさらなる発展があれば更新をしますので宜しくお願いします。
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