人工呼吸器で吸気と呼気を逆に繋いだらどうなるの?実際やってみた!
今回は号外で記事を書いております!発端は他施設にいる同期の臨床工学技士からのお電話…
「人工呼吸器を加湿回路で使用しようとして…吸気と呼気を間違って逆にしたらどうなるの?」と質問をうけたのであります。ということで今回のトピックは人工呼吸器を加湿回路で使用した際に吸気と呼気を逆にしたらどうなるのか!?
解説していきたいと思います。
今回使用するのはコチラ・・・
人工呼吸器 サーボS(フクダ電子)
加湿回路(フイッシャー&パイケル)
加温加湿器(フイッシャー&パイケル)
であります。
通常の間違っていない回路を組んだ状態がコチラ
吸気は「青」で呼気は「白」です。
人工呼吸器から出たドライガス(配管からきた乾いたガス)は短い青い回路から加温加湿器へ。そして加温加湿器で加湿されたガスは長い青の回路を経由して患者側へ
そして患者から白の呼吸回路を経てフイルター→呼吸器と流れます。
さて!問題はここから!先ほどの人工呼吸器からガスが流れ出る青の短い回路と呼気が人工呼吸器側へ流れる白い回路をこのように入れ替えてみます。
どうなるでしょうか?
患者が吸うガスは白い回路を経由して直接配管ドライガスが流れます。ようするに加温加湿されていないカラッカラのガスになるわけです。
それでは呼気側はどうでしょうか?
いくら加温をしてもガスの流れは加温加湿器と呼吸器呼気側の短い青のチューブを経由して人工呼吸器にしか送られません。
人工呼吸器の加温加湿器は加温加湿器のチャンバー温度と患者口元温度をもとに制御していますが、患者口元温度はドライガスが患者から吐き出されたすぐの温度、加温加湿器チャンバー温度は口元温度が上昇しないため温度をあげないといけないと勘違いをして高温に温めます。
しかし、加温加湿器は口元温度が低くチャンバー温度が高い状態…すなわちこの二点間の温度差が大きい場合はエラーとみなしてアラームを鳴らし加温をストップする安全機能をもっています。
実際に吸気と呼気を逆にして加温加湿器を動かしたらこのような状態になりました。
そしてアラームがなるまでには3分も経ちませんでした…あくまでテスト肺での実験になりますが、患者にドライガスを流してしまっても早期に気付けるということです。
もちろん加温せずドライガスを患者に送ることは断じていけないことですが、加温加湿器回路のトラブルは加温加湿器アラームで気付く事がてきるということを覚えてもらえたらと思います。
人間、間違えることはあると思いますが何事も確認が必要ですね!
続編はコチラから
匿名で失礼します。
返信削除昔の加温加湿器ですとしばらく逆の状態で気付いてすぐそのまま正しい形に直しますと...気道熱傷ですね。温度が上がらないのでずっと加湿器は頑張っていたのですからその高温状態の蒸気を一気に肺へ送ってしまいます。
今の加温加湿器でもアラームが鳴る直前の温度はどうなんでしょうね?
匿名さん
削除ご質問ありがとうございます。近年広く使用されている加温加湿器に関しては記事にかいているとおりある程度で加温を停止します。当機種はフィッシャー&パイケルのMR850という機種ですが、前機種のMR730でも同様に機構が働いたと記憶しています。
温度プローブを使用する加温加湿器については安全機構が働きますが、具体的温度については後日調査して確実な温度を回答させていただきます。
もし、そのほかの加温加湿器で知りたいことがあれば合わせて記載いただければ私自身のい向学にもなりますので合わせて調査しますのでお返事いただければと思います。宜しくお願いします。