今回はCHDFの原理(どのように血液を綺麗にしているかの仕組み)についてお話していきたいと思います!

まずは実際のCHDF施行中の様子です。



当院ではCHDF用装置として旭化成のACH-Σを使っています。今回の写真で使っている持続緩徐式血液濾過器は同じく旭化成のエクセルフローという製品を使用しています。この持続緩徐式血液濾過器こそ血液を綺麗にしている仕組みが詰まっております。


この持続緩徐式血液濾過器(以下、ヘモフィルター)の内容を分かりやすくしたものがこちら…



(㈱NIPRO HPより引用)

ヘモフィルターの中には、数万本の細い糸のような「中空糸(チュウクウシ)」と言われるストローが束になって入っています。この中空糸の中を血液が通っていくわけですが…その血液の周りに透析液を流すことにより透析を行っています。→ザックリですが…

では、中空糸の様子を見ていきたいと思います。



(㈱扶桑薬品工業 HPより引用)

上の図を見ると分かるように中空糸の中を血液が右上から左下に向かって流れていっています。そして中空糸の外側を透析液が反対方向に左下から右上へ流れているのが分かると思います。


図の中で中空糸の中から中空糸の外側へ老廃物や電解質、水分が出ていっていると思いますが、このうち老廃物や電解質を除去している原理を「拡散」。水分を除去している原理を「限外濾過」といいます。

それではこれらを詳しく紹介していきます。


「拡散」とは?




ある溶液AとBが存在したとします。そして2つの溶液は小さな孔の開いた膜1枚隔てて分けられています。Aの液を見てみると中に溶けている黄色の物質は7個、緑の物質は3個です。一方、Bの液に溶けている黄色の物質は3個、緑の物質は5個になっています。言葉を変えるのならば・・・

Aの溶液では黄色の物質濃度は高く緑の物質濃度は低い。

対してBの溶液にいえることはその反対で

Bの溶液では黄色の物質濃度は低く緑の物質濃度は高い。

ということです。このことから、2つの溶液はある物質濃度は高いがその他の物質濃度は低いよいうことが言えます。ここで、この2つの溶液を分けている膜が活躍し濃度の高い物質は低い濃度の溶液側へ。溶質が小さな孔を通って移動します。移動したあとの状態がこちら。



ようするに腎不全では体内に不要な物質が蓄積されるので不要物質の濃度が高くなります。この濃度を下げる方法は不要物質が移動できる小さな孔を持った膜と血液を接触させ膜の周りに除去したい物質の濃度が低い溶液を流せばいいということになります。

これが最初にでてきたこの写真が物語っている仕組みになります。




「限外濾過」とは?


お次は限外濾過についてです。限外濾過は膜を隔てた溶液に対してもう一方の膜から圧力をかけるというもの。濾過とはいうものの実際は圧力をかけてむりくり物質除去と水分除去を行っています。
拡散の時と同じように溶液Aと溶液Bがあります。






それが上の図のように溶液B側から溶液A側へ陰圧(引っ張る圧力)をかけることによって黄色の物質も緑の物質も・・・そして水まで溶液Aから溶液B側へ移動しています。

このように拡散は濃度差で物質除去を行い、限外濾過は圧力にて物質除去よ水分除去を行っています。

この拡散と限外濾過については次の記事で設定項目と照らし合わせて紹介していきたいと思います。


CHDF前回の記事についてはこちら
CHDFの基礎知識~パート1~