新人看護師さん必見!把握すべきは人工呼吸の適応と目的!
2016年2月21日日曜日
さてさて、ここにきて私の専門分野である人工呼吸器についてのお話をしたいと思います。看護師さんの中でも人工呼吸って苦手なものだとよく聞きますが…是非とも関心を持っていただきたいと思います。
また、blogのトップページにも書いているようにYouTubeのほうにスライドを使った解説動画もあるのでそちらも参考にして下さい。
人工呼吸器はどんな人に使うのか?
まずはコレですね。当たり前ですが、何故この患者に人工呼吸器が必要なのかを知ってからの看護ケアですので…ちょっと概論をお話いたします。人工呼吸器が必要な患者は大きく二通り。
①呼吸が全く出来ない人
②自分の呼吸だけではうまく呼吸が出来ず補助が必要な人
の二つです。それぞれみていきましょう!
①呼吸が全く出来ない人
こちらは自発呼吸が出来ない人をさします。疾患や状態でいうと…
・脳死
・鎮静や鎮痛による呼吸抑制
・神経筋疾患
・気道閉塞
などです。呼吸運動は下の図のように脳(延髄)から呼吸筋である横隔膜や外肋間筋に指令を伝達して成り立っています。
しかし脳死は呼吸中枢そのものが壊れてしまっているため呼吸ができません。鎮静や鎮痛に関しても薬剤が呼吸中枢のドライブを抑制しているため自発呼吸はできないということになります。
また、神経筋疾患では呼吸中枢が働いていても呼吸運動を実質的に行う筋肉の機能が損なわれているため呼吸ができないのです。例外的には最後に書いているように呼吸中枢からの命令は出ており呼吸運動も行うことが出きるものの空気の出し入れを行う道である「気道」が塞がった状態、「気道閉塞」などもあります。
これらに関しては自発呼吸がないので、人工呼吸による完全な呼吸代替えと気道確保がなければ生命維持ができないということになります。
②自分の呼吸だけではうまく呼吸が出来ず補助が必要な人
状態や疾患でいうと…
・鎮静や鎮痛により自発呼吸が弱い人
・肺炎や肺水腫などで酸素化が障害された人
・気道抵抗が上昇し換気が障害されたCOPDや喘息の人
鎮静や鎮痛による自発呼吸抑制に関しては、集中治療の副作用のようなものですので鎮静剤や鎮痛剤の調節の後、状態評価をすればいいのですが…問題は下の二つ。
人工呼吸の主たる目的は「酸素化の改善」「換気の維持」「呼吸筋疲労の軽減」の3つです。
肺炎や肺水腫による酸素化障害には「酸素化の改善」。COPDや喘息のような呼気の吐出障害による低換気には「換気の維持」。努力呼吸による筋疲労には「呼吸筋疲労の軽減」を目的として人工呼吸を行います。
よくちまたで言う人工呼吸器の適応はPO2が○○以下になったら…PCO2が○○以上になったら…などと言いますが…私の認識としては…
・PCO2だけでなくHCO3との兼ね合いをみてもPHが下がってきている場合
この二つになると思います。
これらの適応を考えると原疾患や患者の治療過程を把握することが非常に重要になるということがよく分かると思います。
以上が人工呼吸器の適応のお話でした。次は人工呼吸器の基本構成についてお話しようと思います。
※今回のスライドに出てきた美しい上半身は…私でなく元同僚の薬剤師さんに協力してもらってます(笑)
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