今回はCHDFの膜の種類や特徴と実際に著明な血圧低下を認めた症例を経験したので膜材質の注意を含め紹介します。ぜひみなさんも注意していただけたらと思います。

CHDFフィルターの種類

当院でよく使うCHDFのフィルター(血液透析濾過器)は3種類あります。膜の材質としては…

ポリスルフォン(PS)膜
セルローストリアセテート(CTA)膜
ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜

です。他にAN69ST膜もありますが主力としては3種類です。それではそれぞれ特徴を見ていきます。



個人的には一番使いやすい膜と思っています。フィルターが固まったりすることも少なく透水性もいいのでハイフロー(透析液を通常より多く流す)症例などでも使います。欠点として親水化剤のPVP(ポリビニルピロニドン)により血圧低下などの重篤な副作用が生じる可能性があります。



巷ではフィルターが詰まりにくいと言われていますのでポリスルフォン膜で長時間施行ができなかったりした場合のセカンドチョイスとして使っています。これといって欠点は無いように思います。



当院では敗血症や感染傾向の強い患者に
使う傾向があります。吸着性能を有していると認識されているためかこのような症例に使ってはいるものの何が吸着されているかはよく分かりません。

しかし、何かしらを吸着しているためかフィルターは詰まったりしやすいので濾過で圧力をかけるのは個人的に懸念しています。


CHDF施行で重篤な副作用

CHDFは開始時にプライミングボリュームによる稀釈などによる血圧低下や除水による循環血液量減少に伴う血圧低下などがあげられますが今回はCHDFの膜が原因と考えられる著明な血圧低下が起きました。



上の画像は緑の部分が連続的な血圧を示しています。また、赤丸で示している所がCHDFを開始した時なのですが…除水をしたわけでも透析濾過治療を開始したわけでもなくただ血液を循環しているだけの状態で100近くあった収縮期血圧が60台へ著名に低下。

このため一旦CHDFを離脱し血圧上昇を確認し再度CHDF回路を患者に接続…血液ポンプを回すと再度赤丸のように著名な血圧低下がみられました。

この日は、以前使用していた膜からPS膜へ変更していた事からPS膜のPVPによる血圧低下が考えられたためその日はCHDFをスキップしました。

後日、PS膜ではない膜へ変更再度CHDFを開始すると血圧低下もなく治療ができてので膜が合わずに血圧低下をきたす場合があるという認識をもつことができました。


メーカーなどに問い合わせるとPS膜ではなくCTAで合わなかった患者にPMMAを使ったらよかったなどもあるようなのでボリューム付加や昇圧剤投与に反応しない血圧低下は一度CHDFを中断し膜材質の考察を行うことも必要かもしれません。

奥が深い血液浄化…みなさんも注意していただけたらと思います!