今回は血液ガスの考え方…


今回のメインはPCO2とHCO3、そしてPHです。ここで押さえておくべき事は、PCO2が増えたら酸性に傾きHCO3が増えたらアルカリ性に傾くということです。私たちの体の中は弱アルカリ性に保たれています。

今更ですが、血液ガスの正常値を下に示します。


そして弱アルカリ性に保たれている前提には酸性とアルカリ性が天秤の上で水平に保たれているという事が言えます。この水平の値として用いられるのがPH(酸塩基平衡)の7.4±0.05という値です。





PHが7.2や7.1になることを酸性に傾くアシドーシス
7.5や7.6になることをアルカリ性に傾くアルカローシスと言います。


また、水平に保つということはいわゆる恒常性を保っているという言葉にも言い換えれます。用語としてはホメオスタシスといわれるものです。


さて、PCO2は酸性でHCO3はアルカリ性の因子でした。さらにこのPCO2は生体反応としては呼吸状態を反映し、HCO3は腎機能の状態を反映します。腎臓の状態に関することを代謝性ともいうのでここもチェックです。


PCO2は呼吸により排出するのはみなさんイメージが出来ると思いますが、HCO3はどうてしょう?正常に働く腎臓の機能にHCO3の再吸収というものがあります。この再吸収の過程に関しては呼吸生理の分野で・・それだけで1記事と言わず、5記事程になりそうなのでスルーします。こうゆうもんだと覚えて下さい!


ではPHについて考えていくのですが…呼吸状態が悪化すると換気が出来ずPCO2が上昇します。PCO2が上昇すると体の中は酸性に傾くのでアシドーシスになっちゃうのです。


酸性になるとカリウムが上昇してしまいます。KCLの静注が禁止されるのを思いだしてもらうと分かる通り血中カリウム濃度が上昇すると危険です!


なぜならば心臓が止まってしまいますからね。。。


しかし、こんな危ない状態に人間ちょっとやちょっとではなりません。生体は恒常性を保つため酸性を中和するためにアルカリ性の因子を多くしてPHを弱アルカリ性に戻そうとします。

このときに働くのが腎機能を司るHCO3なわけです。


ここでこの病態をまとめてみましょう。


①呼吸障害にて二酸化炭素の吐出障害が発生
②吐けなくなった二酸化炭素は体内に溜まりPCO2が上昇
③体内に酸であるPCO2が増えたことからPHが酸性に傾くアシドーシスになる
④アシドーシスになった体内を弱アルカリ性に戻そうと腎機能か頑張ってHCO3が上昇する。


①~③を呼吸性アシドーシスとよび④をアシドーシスに対して代償的に腎臓が働いているので呼吸性アシドーシス代謝性代償といいます。



ここまで宜しいでしょうか?



次は実践です。次の血液ガスの病態を答えよ。



PO2 95mmHg
PCO2 24mmHg
PH 7.31
HCO3 14mEq/L




まずはPHが7.4より小さいか大きいかをみます。ここでは7.31と7.4より小さい値なので酸性に傾いているアシドーシスの状態です。


PCO2は基準の40mmHg以下なので呼吸性に過換気となっいるのか腎臓機能が悪く代償的にPCO2が低下しているのかを考えます。


次に見るのはHCO3の値です。


前述したようにHCO3の変化は即時的に起こるものではありません。一般的に過換気は発作的に起こるものなので過換気によってPCO2が低下し代償的にHCO3が低下したとは考えにくいです。そのため、HCO3が低下しているのは代謝性因子である腎機能がなんらかの障害を受けて再吸収ができない状態だと推察できます。



総括すると・・・
アシドーシスかアルカローシスか  PH<7.4なのでアシドーシス
呼吸性か代謝性か         HCO3が著名に低下しているので代謝性
代償は              PCO2が低下しているので呼吸性
最終的には  代謝性アシドーシスの呼吸性代償


ということになります。


このように血液ガスの見るポイントは
①アシドーシスかアルカローシスか
②呼吸性かアルカリ性か
③代償変化は働いているか
となります。もっと詳しくみるためには乳酸やアニオンギャップなどありますが、ここでは概論という事でお話を終わらせていただきます。