VCV(従量式)とPCV(従圧式)の使い分けについて書いていきます!

それぞれ、一回の換気を量に従って送るか圧に従って送るかの違いだけなんですが…図を用いて紹介していきます。ここで使う図では、赤の矢印を圧力、緑の膨らみを換気量とします。


VCV(従量式換気)




VCVでは、換気量を規定しているのでこちらの図では一回換気量が全て500mlとなっています。

一番上の図を基準に考えると、真ん中の図では膨らみにくい肺にむりやり500mlを入れ込んでいるので赤の圧力が大きくなっています。対して一番下の図では膨らみやすい肺に500mlをいれているのでさほど赤の圧力は上がらないことがわかります。

このことからVCVでは、圧力を観察しなければいけません。

この肺の膨らみやすさ(コンプライアンス)という因子により気道内圧が変化しますが、肺のコンプライアンス以外にも気道抵抗(レジスタンス)や気道分泌物によっても下の図のように圧力が上昇します。



このことからVCVでは換気量を決定し血液ガスの補正などを行いやすい反面、コンプライアンスやレジスタンスに何かしらの障害がある患者さんでは圧上昇を引き起こしてしまいます。

もっともVCVにおいて圧波形を観察しコンプライアンス成分の障害かレジスタンス成分の障害かを判別する知識があれば高気道内圧に対しての考察ができますが、私達臨床工学技士をはじめICUドクターなどの人工呼吸器を扱う職種でも知らない人が多いと思います。


このため圧上昇を懸念して急性期ではあまり使われることがありません。

強いてこのVCVを使うのであれば、コンプライアンスやレジスタンスに障害のない患者さん。ようするに肺・気道疾患のない患者さんになります。

これらの患者さんで人工呼吸を行うとすると術中やオペ後、神経筋疾患などが挙げられるのではないかと思います。


PCV(従圧式換気)




PCVでは、吸気圧を規定しているのでこちらの図では赤の吸気圧が全て15cmH2Oとなっています。

一番上の図を基準に考えると、真ん中の図では膨らみにくい肺に15cmH2Oの圧力をかけているので緑の換気量が小さくなっています。対して一番下の図では膨らみやすい肺に同じ15cmH2Oをいれていますが、ストレスなく膨らませることができるので緑の換気量が他に比べ増えていることが分かると思います。

このことからPCVでは、換気量を観察しなければいけません。

PCVはコンプライアンスやレジスタンスにより換気量が変わります。その様子が下の図のようになっています。




このことからPCVでは吸気圧を決定し圧上昇を引き起こさぬよう換気を行うことができますが、気道分泌物などでも換気量が変化するので気道分泌物のアセスメントなどをしっかり行わないと換気が維持できません。さらにPCVでは圧力と同時に吸気時間の要素もしっかりと考えなければ換気の維持が円滑にいかないという欠点もあります。



最近では肺の圧損傷を起こさぬよう30~35cmH2O程度に圧力を抑えて換気を行ったほうがよいとする人工呼吸管理が主流となっているのでPCVのほうが使われることが多いと思います。主流となったPCVにおいては圧波形でなく流量波形を観察しながら換気設定を行うことが必須となりますが、主流が故に波形観察が出来る医療スタッフが多いのも特徴だと思います。



私の施設でもVCVよりもPCVで管理を行うことが圧倒的に多いですし私自身、ドクターに講義やOJTを行う際はPCVをつかっています。



絶対にPCVがいいと言わずVCVを選択する時もありますが、自発呼吸が存在する場合、VCVでは患者自発呼吸に対して換気量が多かったり少なかったりする事があるのでその点でもPCVのほうが優れていると思います。
最後に各モードに対するアラーム対応表を貼っておきますので参考にして頂ければと思います。







いやはや、換気様式の話ももっと詳しく書きたいところですが、概要としては十分だと思うのでここら辺で失礼します!



解説動画も一緒にどうぞ→コンプライアンスとレジスタンスの変化は人工呼吸にどう影響するか