先日、感染管理の認定看護師さんから「ネーザルハイフロー(NHF)の回路って交換期間など決められていますか?」って質問を受け・・・今回は人工呼吸器回路の交換時期について紹介したいと思います。

人工呼吸器回路は未滅菌

そもそも人工呼吸器回路の中でも国内で圧倒的シェアを誇る下の写真のような加温加湿器用人工呼吸器回路 RTシリーズ(フィッシャー&パイケル ヘルスケア社製)は「綺麗な場所」で製造しているだけで回路自体を滅菌処理しているものではありません。

人工呼吸器用加温加湿回路

なかには麻酔用回路(人工鼻用)のように滅菌処理ができている呼吸回路も存在しますが、これらの事を考えると必ずしも呼吸器回路は滅菌の必要性はないのかもしれません。そのような呼吸器回路ですが、古くから「呼吸器回路の定期交換」といった名目で各施設独自の決まりで1週間に1回や2週間に1回・・・患者毎に交換など色々な形態で回路交換を行ってきた背景があると思います。しかし、RTシリーズにおけるメーカー推奨はどのくらいの期間とされているかというと実は各、回路に巻きつけられている赤いタグに書いてあり・・・・

人工呼吸器回路仕様期限

左から
RT 380(成人用人工呼吸器回路 EVAQUA 2) 14日間
RT 265(小児用人工呼吸器回路 EVAQUA 2)   7日間
RT 202(成人用CPAP回路)→NHF回路       7日間

となっています。これらの期間は、メーカーによる耐久テストを行った期間であって実際はこの期間よりうんと長期間使用できます。よってメーカー推奨はこの期間だが・・・実際前述したように各施設ごとの期間交換になっているのが現状です。

補足ですが、何故RT380だけ14日間かというと吸気回路・呼気回路ともに改良を行いその耐久性向上を背景に耐久テストを14日間行ったからという理由だそうです。。。

また、今回のトピックである人工呼吸器回路の交換頻度については数年前から言われているCDCやVAPバンドルで記載されているように感染管理の面では、人工呼吸器回路の48時間以内の交換や定期的な交換は推奨されておらず肉眼的汚染や破損時の交換となっている施設が最近多くなってきていると思います。当院のICUや一般病棟でも定期的な交換は行っておらず汚染時や患者毎の交換となっています。

人工呼吸を5時間以上行った時の保険点数は1日につき819点=8,190円なので1日分で回路の材料費はペイできるものの感染管理の面やマンパワー・患者負担を考えるとやはり肉眼的汚染や破損、患者毎の交換が望ましいのかなと思います。

最後に・・・今回の記事発端にあったNHF回路の交換ですが、NHFは上気道(鼻腔や咽頭など)を介して酸素療法を行うもので気管内挿管を行い直接的にガスを下気道、及び肺胞へ送気するものではありません。このため机上論的に考えても通常の人工呼吸回路より感染管理上はシビアにならなくてもいいのではないかとお返事をさせて頂きました。

呼吸管理は状態改善や生命維持はもちろん、感染などの合併症予防にも私たちは務めなければいけませんね!