2018年最初のトピックは「臨床工学技士の業務選択」について。




院内に臨床工学技士が在籍している病院のスタッフや自身が臨床工学技士である場合はご存じかと思いますが、臨床工学技士には多くの業務があります。

当院での業務は…大きく分けて

※体外循環業務(人工心肺・補助循環・オペ関係)
※集中治療業務(急性血液浄化・アフェレーシス・呼吸療法・補助循環・ER)
※血液浄化(入院維持透析・アフェレーシス)
※機器管理


ざっくばらんすぎますが、このような形になっており人員としての内訳が…

体外循環&集中治療(当直組)9人
血液浄化3人
機器管理2人

血液浄化と機器管理については基本的に固定で当直組(当直や待機)の9人は体外循環や集中治療、ERと病棟(NICU含む)などをだいたい2人1組で日替わり担当制のように行っています。

現在の当直勤務は特定集中治療室加算が新しくなったことをきっかけに行っているわけですが、当直を行っている9人のうち人工心肺のメインポンプを回せるのは6人。内、大血管症例(大動脈解離等)を回せるのは2人しかいません。

何故このようになっているかというと、当院における開心術ポンプ症例はだいたい100症例/年 程度ですし大血管症例に関しては30症例/年 程しかありません。この症例数を上手いこと分配するのは当直の代休などをとらなければいけない中難しくなるわけです。

おまけにECMOなんて確実に年間10例もない状況なのでタイミングが合わなければ見る機会すら逃してしまいます。

このため自信のない業務や1人では困難な業務に当直中ぶちあたった場合は待機当番へ連絡をしてフォローを行っています。

そんななかで…フォローが必要になる可能性が高いと思う業務の順位としては…
①ポンプ使用の開心術(大血管症例)
②ECMO導入
③IABP導入
④APRV施行
⑤NO吸入施行です。

循環器系が上位3つで呼吸器系が2つ。急性血液浄化やアフェレーシスに関してはある程度「方法」が決まっているため患者ごとに考える項目が他業務と比較して少ない気がします。

さて、ここからが問題で…呼び出し応援を要する技術や知識は専門性が高く一人でその全てを網羅することは非常に難しいです。順位を上から見てもバイタリティーと時間、症例が必要になるのは皆さん分かると思います。

私も若い頃は体外循環に憧れて大きい施設に入ろうと意気込んでいましたが、体外循環を回す前に施設をうつり呼吸療法にはまり…その呼吸療法を行うなかでも「循環」「代謝」の知識が必要だと感じた結果、現在の病院へうつり体外循環や血液浄化も勉強しなくてはと日々を過ごしています。

しかし、自分自身で循環や代謝を学びたいとは思ったものの根本的に「呼吸療法」に魅せられているわけなので「体外循環」をリードする技士のように「パフュージョニスト,体外循環技士」になろうとは思わなかったし「向いていない」と悟りもしました。

何故そう悟ったか…それは…体外循環で人工心肺のメインポンプを回していた時に何をもって充実感を得ていたかというとポンプ操作などてはなく「血液ガスの管理」だったんです。。。

もちろん危険な仕事ですし責任が重いと重々承知の上で臨んでいましたが、こればかりはどうしようもない。だって…呼吸が好きなんだもん…

そこで考えたのは、あくまで自分のやってきた「患者をベッドサイドで診ながら行う呼吸療法」に加えて体液管理や循環管理…それらが破綻した場合に行う生命維持管理を集学的に追求した方がバイタリティー的にも患者還元にもなるんじゃないかな?というところでした。

臨床工学技士に限らずナースもドクターもPT.OTも確実に言えることはそもそもの興味や得意なものは何なのか?

それが分かるまではスペシャリストにもジェネラリストにもなれない気もします。

そして脱線しますが、ジェネラリストになるためにはスペシャリストが10の技量を持っていたとすると7の技量は必要だと個人的に思います。

何故7と見たかというと、一般的なアベレージといえる5は余裕をもって越えていて多少の応用は利くといったらこのくらいになるのではないかなと思ったからです。逆に言えばジェネラリストはアベレージを余裕で越えなければオールマイティーとは言えないわけです。

オールマイティーなジェネラリストの先(7から先)は専門的知識と臨床経験、さらには興味という名の「情熱」がないといけないのではないでしょうか?と、いうよりも実際はスペシャリストになる勢いで知識を深めるとおのずとジェネラルの道に開けていくのかな。。。

なんだかまとまりがない投稿になっちゃいましたが、今、迷っている方の気持ちが少しでも楽になれたらいいな~と思い終わります!