以前、リンクブログサイトであるうんぱるんぱさんが運営の「ぐうたら臨床工学技士のしがない日々」で平成30年度診療報酬改訂概要を見たのですが、そこに当院でもHOTな話題であるimpella(インペラ,補助人工心臓)の事が記載されていたので今回は補助人工心臓について触れていきます。

出されていた診療報酬の要件がコチラ


そして現行の経皮的心肺補助補助法がさすものが所謂PCPS(V-A ECMO)なわけですが、ポンプカテーテルを用いた経皮的心肺補助法というものはなんなのかを見ていきたいと思います。

それに先立ちちょっと補助人工心臓のお話をさらっとさせていただきま~す。


補助人工心臓とは?

なんとなく想像がつくと思いますが、心臓の機能が低下し自分の力でうまく血液を送り出せなくなった患者さんが使用するものです。いうなれば「心不全」の最重症例と考えるのがいいかと思いますが、この「補助人工心臓」を行うにあたっては多くの「適応」を満たす必要があります。また、広義の補助人工心臓はVAD(バド,Ventricular Assist Device)やVAS(バス,Ventricular Assist System)  と言われ、その補助する目的となる場所を頭文字にいれて左心系の補助人工心臓ならばLeftなのでLVAD(エルバド)、右心系の補助人工心臓ならばRightなのでRVAD(アールバド)、両方ならばBiVAD(バイバド)と呼びます。


一昔前の臨床工学技士養成校における循環器分野の生命維持管理装置といえばPCPS(経皮的心肺補助装置)IABP(大動脈バルーンパンピング)でしたが、今後の教育課程ではVADも含めた循環生命維持管理装置のくくりとなってくるようです。


そんなVADの中でも最近流行っているのがLVADのIMPELLA(インペラ)。詳細としてyoutube動画等を引用し解説していきます。



IMPELLAとは?




【IMPELLA用カテーテルと制御装置】

*引用https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000021383.html

【IMPELLA動作イメージ動画】


*引用https://www.youtube.com/watch?v=GhWB7T5QxMI

インペラは動画で見ると分かりますがカテーテルを左心室内まで進みいれて左室からポンプを使い上行大動脈部分に血液を送るシステムです。

もっとざっくりした図を下に書いてみましたが、まずは健常人の場合を考えてみたいと思います。健常人は下のように左心室の収縮により肺で酸素化した「動脈血」を全身に送っています。


ここまではみなさん大丈夫だと思います。しかし、左心室の機能が弱くなってしまった患者(左心不全)は心臓が肥大し筋肉もペラペラになってしまうことからうまく左室が血液を体中に送れなくなってしまいます。


そこでIMPELLAの登場ということになりますが、IMPELLAはIABPのようにカテーテルを挿入しそのカテーテル先端を左室へ留置。左室の血液をポンプでくみ上げて脳や体循環方向へ動脈血を送るデバイスということになります。

循環器をやったことがある方はイメージしやすいですが、IABPのカテーテル先端が左室にやってきてV-A ECMOのような効果が期待できるというわけでございます。

こんなデバイスを当院で始めようといしているわけですが、色々としがらみがあるようで・・・資格取得者数やIABP/PCPSの症例数なんかもはいっています。


*補助人工心臓関連学会協議会 インペラ部会HPより抜粋(http://j-pvad.jp/guidance/)


当院は、体外循環技術認定士が1名しかいない上にPCPS症例はギリギリライン。IABP症例数は大丈夫ですが、とりあえずポンプ組の燃えてる後輩達が頑張って資格取得を目指してくれています。私も他人事のように傍観するのではなく勉強しなくてはと思う次第です。


さてさて、まだ実際の実務で触れていない話題をつらつら書いていますが、こんな事ができるようになるとは免許とりたての時に思いもよりませんでした。

着々と医療機器も進化する世の中ですね。


今回はちょっと新しいお話をしてみました。今月末の日臨工でもIMPPELLAについて演題がたくさんでているようでした。医療とは進み続けるものですし皆で頑張りましょう!